プラスチックの語源と定義
米国のスーパー・マーケットのレジで、「ペイパー・オア・プラスティック」と聞かれたことがあります。
どういう意味だか、わかりますか。
これは商品を入れる袋を、紙にするかプラスチックにするか、好きな方を選べということです。
もっとも10年以上も前のことなので、今でも同じことを聞かれるかどうかは知りません。
紙は無骨な薄茶色のザラ紙、プラスチックは日本のスーパーでも使われる、白いポリ袋でした。
その時に私は、どこか違和感を覚えました。
プラスチックという言葉からはプラモデルに使うあの硬い材質を想像してしまったからです。
しかしプラモデルも確かにプラスチックですが、ポリ袋もまたプラスチックなのです。
わかっているようで、何となくイメージが拡散してしまうプラスチック。
まずはその言葉の説明から始めましょう。
英和辞書でplasticを引くと、材質としてのプラスチックやそこから派生する意味のほか、「可塑性の」という形容詞が見つかるはずです。
「可塑性」については次章でやや詳しく説明しますが、簡単にいえば「変形しやすい」くらいの意味です。
実はプラスチックという言葉はもともと、材質の力学的な性質を表わしているのです。
その性質を有する典型的あるいは代表的な物質こそが、日本語にもなっているプラスチックなのです。
とはいえ次章で見るようにどんな物質でも可塑性はゼロではありませんから、その性質をプラスチックの定義とするわけにはいきません。
ではどんな定義なのでしょう。
これがまたスッキリしないのですが、乱暴にいうと、合成樹脂のこと、などといわれます。
樹脂というのはもちろんもともと天然のものであり、漆に代表されるようにまさしく可塑性を持っています。
それと同じような性質のものを人工的に作ったものが合成樹脂なのであり、ほぼプラスチックと同じ意味なのです。
合成樹脂は単純にはできません。
化学的説明は3章で行いますが、高分子材料という大きな分子が必要です。
それを合成させ、高い成形性を持たせたものが、より厳密な意味でのプラスチックです。
ただし、同じように高分子材料を合成してある意味で成形性を持つ材質でも、合成ゴムや合成繊維はプラスチックには入れません。